2003年9月クレムゾン大学のトーマス・ボーランド博士は、インクジェット3Dプリンターで生きた細胞を作る特許を申請した。この技術は、臓器プリンティングと呼ばれ人工臓器を作るための第一段階だと考えられている。最終的な目標は、人体の全ての部位を同じようにして作ることだろう。だが、生物学と科学技術の融合をさらに進めようとする動きがある。「超人間主義」と言われるものだ。
超人間主義者の最終ゴールは、永遠の命を持つ神になることだ。彼らは科学技術を身体に取り入れて、改造人間…つまりサイボーグになろうと考えている。人間の身体には不老不死になる仕組みが暗号として組み込まれていて、それを解読することが人間の最終的な進化であり神に近づくための方法だと信じているのだ。
専門家の中には、人間に永遠の命を与えるための技術が2050年までに開発されると考える人もいる。人工臓器やシリコン製の人口組織を使えばそれが可能になるらしい。
企業はコンピューターを人間の脳の中へと繋げる神経インターフェースというものを開発している。人間の脳全体の情報を読み込み全てのデータを保存した後、シリコン製の人工知能システムにコピーすれば、そこでデータが保管されるので脳が死ぬことはないと考えているのだ。身体と機械には興味深い類似点がある。脳の特定の部分が損傷すれば、まるで機械のように身体が動かなくなり、腱や関節を痛めると機械と同じように機能しなくなる。生命は私たちが考えているようなものとは限らないことに目を向けるべきかもしれない。
だが、生き物ではないものが、感覚を持つことは可能なのだろうか?
人類がコンピューター、携帯電話、インターネット、人工機関に依存を高めているまさにその技術に、人間自身が取り込まれていくのだろうか?人類の運命は古代の神々に遭遇することではなく、未来の私たち自身に遭うことなのかもしれない。そして、その時がくれば今の人間は、時代遅れの基本ソフトのように考えられるのかもしれない…