1752年。この時20歳のジョージ・ワシントンは、秘密結社のフリーメイソンに入会した。会員には建国の父たちもいた。ベンジャミン・フランクリンやジョン・ハンコック、ポール・リヴィアなどである。アメリカの建国においてフリーメイソンはどのような役割を果たしのだろうか。また、謎のシンボルにはどのような意味が込められたのか?
フリーメイソンによる啓蒙概念、原理の普及
フリーメイソンの起源についてはいくつも説がある。だが、ルネサンス時代にルーツがあることは確かだ。この時代になって人々は、古代の歴史を振り返ることを始める。そして失われた文明がかつて持っていた知識を学ぼうとしていた。
フリーメイソンの中では、知識を得る手段として科学的な方法と共に、超自然的な方法も認められている。啓蒙時代には、この方法で異星人の存在が解明できるとも考えられていた。共同体の中で最も著名な市民が、フリーメイソンの会員となって当時問題となっていた事柄や世界の複数性に関する議論を他の会員たちと行っていたのだ。
独立宣言には56名が署名をしているが、その内の9人は間違いなくフリーメイソンの会員なのだ。憲法の署名を見てみると39名の13名、つまり三分の一がフリーメイソンだったのだ。当時、フリーメイソンが大きな影響力を持っていたために、アメリカの最も重要な文書にその考えが盛り込まれたのだろうか…
ワシントンD.C.に散在するフリーメイソンのシンボル
首都の設計において、重要な意味を持つシンボルにフリーメイソンの影響が見られる。フリーメイソンの万国共通のシンボルは、直角定規にコンパスだ。コンパスは一人一人が持つ道具であることから、フリーメイソンの中では個人が主権を持つことを象徴している。そのコンパスで、自分の周りに描いた円から一歩外に出ると知識と光の中に入っていけるというのだ。直角定規は知識を象徴していてGの文字は、宇宙の偉大なる建築士を表している。
フランクリンが世界の複数性を信じていたために、フリーメイソンのシンボルが使われたのだろう。この秘密結社の発展に携わった人々は、エジプトに非常に関心を持っていた。古代の知恵が彼らを突き動かしていたのだ。
ワシントンDCで見られるその他にフリーメイソンのシンボルも古代エジプトの象徴と瓜二つである。スフィンクスにオベリスク、ピラミッド、それに全てを見透す眼などがある。
1ドル札を取り出して見ると、片側の面にはエジプトの大ピラミッドの絵が印刷されている。ピラミッドの頂点に描かれているのは、全てを見透す眼だ。この神秘的な神の眼のシンボルがアメリカ政府の公式引証で、神が私たちを見守っていることを現している。また神が古代文明を造ったという意味でもあるのだから、これが建国の父たちがアメリカで再現しようとした理想だとも言えるのだろう。
18世紀に理性と論理に基づいた、新たな国づくりに着手した男たちは、なぜ紀元前の古代の神秘主義をこれほど重要視したのだろうか。また、何が人類を見守っていると考えていたのだろう。神、それとも別のものたちか…
フリーメイソンと地球外生命体
議会図書館に保管される1866年のジョージ・ワシントンのリトグラフに答えがあるという。フリーメイソンとしてのワシントンの有名な絵である。右肩の上には、天に架かるヤコブのハシゴが描かれている。これが宇宙に浮かぶ宇宙船に繋がっているように見えるのだ。聖書の創世記28章には、手に続くハシゴを天使が上り下りするのをヤコブが目撃したことが綴られている。この絵では、ハシゴが天国からではなく何色もの光を発する黒い円形の物体から降りてきている。ヤコブのハシゴは、フリーメイソンでよく見られるシンボルだが、この絵は別の何か、つまり地球外のものを表現しようとしたとは考えられないだろうか。
直角定規にコンパス、全てを見透す眼にヤコブのハシゴ、これらのシンボルはアメリカの本当の起源について何を語っているのだろう。