日本人形の髪が伸びた!?
それは今からおよそ100年前ーー。
鈴木栄吉という男がある日、娘の菊子が欲しがっていたおもちゃを買ってきた。そのおもちゃとは日本人形。菊子は毎日その人形と遊んでは、夜も一緒の布団で眠るほどの可愛がりようだった。
しかし、翌年風邪をこじらせた菊子はその短い生涯を閉じる。悲しみに暮れた栄吉は、人形を菊子の遺骨と共に仏壇に祀り毎日祈りを捧げていた。そんなある日夫婦は、人形の異変に気が付く。祀った当初はおかっぱだった人形の髪が、肩にかかるほど伸びていたのだ。菊子の霊が乗り移ったのだと信じ込む夫婦。
だが、本当に菊子の霊が人形に乗り移ったのだろうか?
日本人形の髪が伸びた訳
日本人形の髪の毛は特殊な作り方になっている。まず1本の長い髪の毛を二つ折りにしてその中央を糸でくくる。次にその糸でくくった部分を頭に開けた穴に植え込み接着剤で固定するのだが…。この植毛方法だと接着剤が古くなったり接着方法が杜撰(ずさん)だと少しずつ髪がズレ、不揃いに伸びたように見えるのだ。
よく巷で騒がれる日本人形の伸びる髪の毛は、決して霊などではないのである。