仮想通貨のはじまりは、今から9年前サトシ・ナカモトと自称する人物、あるいはグループがオンライン上に存在できる通貨の論文を公開。するとその三ヶ月後、実際に運用が始まった。それがビットコインだ。
さも実物のお金を取引しているかのように、オンライン上で数字をやり取りさせているが、もちろんただの電気信号で実態はない。
仮想通貨の正体
信用性
現在のお金は国が管理している。しかし、これはある種の危険性を孕んでいる。いざとなれば国は、お金を大量に発行したり、また減らしたりと価値を自由に操作できてしまうからだ。
一方のビットコインは、国のような管理者はなく、あるのはプログラムだけ。どのように作られて、どのように増えていくのか、誰もが見ることのできる設計書に書かれている。さらに取引情報までもが世界中に公開されている。つまり、不透明な人為的レート操作がない。これこそビットコインが新たに生み出した国に変わる信頼なのだ。
これが如実に表れたのが2013年。ビットコインが一気に値上がりした。実はこの時、中国から大量の資金が流入した。共産国である中国は、人民元の為替に大きく介入している。さらにこの年、政府が円やドルなどの外貨流出に制限をかけたため、不安を抱いた中国の富裕層は、国に替わる新たな信頼としてビットコインに資産を移したのだ。
セキュリティの問題
オンライン上で取引する仮想通貨にとって怖いのはハッキングによるデータ改ざん。世界基準の通貨を作るためには、超強力なセキュリティがなくてはならない。そのためには莫大なお金と超高性能コンピューターが必要で事実上、実現は不可能に思われていた。
しかし、それをクリアしたのがサトシ・ナカモトが考えたブロックチェーン。これは一台のコンピューターで運用するのではない。世界中の8,000台を超えるコンピューターで作業を分担。みんなで協力することで不可能だった高セキュリティを実現させた。このブロックチェーンのおかげでビットコインの運用に関しては、ほぼ安全だと言われている。
課題
だがある問題が残されていた…
2014年時価総額480億円におよぶビットコインがハッキングされ消失した。これはビットコインに問題があったわけではない。盗まれたのは、円やドルと仮想通貨を交換する取引所。この取引所のセキュリティは従来のままなので、ここに預けている仮想通貨を狙われるとひとたまりもない。目下、取引所のセキュリティ向上が課題とされている。
現在、仮想通貨の種類は1000を超えると言われ、それぞれが違う特徴を持っている。例えば、イーサリアムと呼ばれる仮想通貨のシステムは、取引と同時に契約もデータに書き込むことができる。ネットで買い物をする際、送金するのは商品受け取り確認後と書き込めば、実際にプログラムとして稼働。これを使うことで詐欺などを心配することなく個人同士で取引することが可能となる。
リスク
いいことづくめに見える仮想通貨だが…
日本の株式市場が約600兆円の規模に対し、できたばかりの仮想通貨市場は全世界で17兆円ほど。まだ市場が安定しておらず、資金の出し入れが激しいため価格が乱高下する。また、メリットだったはずの管理者がいないことも裏目に出て、ストップ安などの規制もない。そのため1日で何万円も上下するリスクを孕んでいるのだ。