トランスヒューマニズムとは、科学技術を使って人間の心と体そして何より知能を高めようという考えだ。ペースメーカーや人工股関節などを装着してすでに進化を遂げている人は数多く存在する。そのような技術を使うことは、人間の能力を超えることにつながるだろう。
人は永遠の命を求め様々な方法で寿命を延ばそうとしてきた。トランスヒューマニズムは神話のあちこちに見られる。不老不死を求めた英雄ギルガメッシュ、錬金術、若返りの泉探し、それは人間の限界を超えようとすることだ。人は長い間、永遠に生きる方法を研究してきた。
人の遺伝子編集に着手
2015年4月22日、中国。中山大学の研究チームが世界で初めて人の受精卵の遺伝子を編集するという歴史的な実験を行った。彼らは、クリスパー・キャスナインという遺伝子編集技術を使い、βサラセミアという血液疾患の原因となる遺伝子異常を修復することができたという。受精卵の一部を切断して置き換えるのだ。
DNAの改編技術は、病気などの問題を克服するためだけでなく、髪や瞳の色など外見を変えるためにも使える。さらには、知能や身体能力を向上させることもできるのだ。
人の受精卵を改編することは、デザイナーベイビーの誕生に繋がるのだろう。デザイナーベイビーとは、親が選んだ外見や知能を持って生まれる子供のことだ。それが実現可能であるだけでなく、じきに親の定義も変わるのではないかと多くの人々は考えている。
将来的に考えられるのは、親の数が二人や三人とは限らなくなるということだ。どんな数でも可能になるだろう。SFのような話だが、実際に日本などで研究が進んでいる。人工子宮を使って胎児を育てることで複数の親を持つ子供を作ることが可能なのだ。もしこれが実現すれば、優れた遺伝子を持つ人々から遺伝子を寄せ集めるので、親が誰なのかということは重要ではなくなるだろう。そのような未来はすぐ目の前なのだ。
何人ものドナーから遺伝的な特徴を選び、人工的に人間を創り出すことは可能なのだろうか。人は思い通りの特徴だけを備えられるようになるのだろうか。