今、ぐだぐだな会見で部下たちを不安にさせ、モチベーションを低下させた某社の話題でもちきりですが、会社、友人、家族…切っても切り離せない人間関係。そこでの悩みを解決する手段はリーダーシップにあった!スタンフォードで教えられている次世代のリーダーシップとは!?
現代を生き抜くリーダーシップ術
日常に潜むリーダーシップ術
今、一冊の本が注目を浴びている。「スタンフォード式最高のリーダーシップ」GoogleやYahoo!の創業者を排出したアメリカの超一流大学スタンフォード。そこで教えられている脳科学、心理学、歴史学に裏打ちされた最新のリーダーシップ論が書かれている。
例えば…
「おい、鈴木!先週頼んだ発注、どうなった?」
「あっ!忘れてました!すいません」
「おいおい、今度同じことやったらボーナスカットだぞ!」
「はい…二度とわすれません!」
すぐにプレッシャーをかけたり、ペナルティをチラつかせて部下を動かすよく見る手法だが…これはリーダーとして絶対にしてはいけない。
実際に叱られた部下は、プレッシャーによって失敗を繰り返さないかもしれない。しかし、プレッシャーやペナルティを多用するとそれを見ていた周りが、次は自分かもしれないとミスを恐れ、消極的なモチベーションとなってしまう。その結果、高い確率でチームの成績が下がってしまうことがわかっている。
さらに…(テニスサークルで)
「今日の試合がんばってたよ。お疲れ様会でまた飲みにいこうや」
「はい、ぜひお願いします」
「また誘うわ」
飲みに行こうと誘ったきり、全く飲みに行かない。その場しのぎの良くしてしまうこの行動もリーダー失格。後輩にとって目上の人の言葉は、どんなに些細なことでも約束ととらえる心理が働く。
目上の人が自分の言葉を守らなければ、後輩はこの人は信じてはいけないと不信感を抱くようになる。リーダーは、どんな小さな約束も守ること。そして、軽々しく約束をしないことが求められているのだ。
そしてこんなケースも…(PTA会議)
「おかしいなぁ、今日会議15時からですよね」
「すみません、みなさんお待たせしました。じゃあ、会議始めましょうか」
予定時刻に少し遅刻しても、全く気にしない。こんなリーダーもNG!時間という価値は、上司であろうが部下であろうが、誰にでも本来平等なもの。そのため、何度も遅刻し、しかも気にしていない様子だと目下の人は、自分たちのことを軽く扱われているように感じてしまう。
さらには役職などが付いていた場合、肩書きにあぐらをかくタイプの人間だという批判を生み出す要因になってしまうのだ。
このように職場だけでなく、家庭や友人関係などの日常生活では誰にでもリーダーシップを発揮しなければならない瞬間が訪れる。その時、周りを動かし人間関係を円滑に進める方法!それこそがスタンフォード式リーダーシップなのだ。
戦隊ヒーローのリーダー・レッドの悩み
リーダーとしてどのような行動が正しいのか?日常で出会う様々なケースを通してスタンフォード式リーダーシップ術を学んでみよう。
「今年からリーダーになったんだけどさ、チームワークが悪くて今日も敵にボロ負け。これじゃ憧れのゴールド先輩に近づけないよ」
「ゴールド先輩?」
「レンジャー業界では、史上最高のリーダーって言われているんです」
「よかったら私が力を貸しましょうか?私こういう者です」
「リーダーシップコンサルティング金野さん?」
「人の心を動かして、チームの成果を上げるリーダーのお手伝いをしています」
「はぁ…」
こうしてレンジャーのコンサルを担当することになった謎の男、金野。さっそく翌日の作戦会議に参加することに。
「今日は次の戦いに向けて1人づつ考えてきてもらった作戦案を発表してもらおう。まずは…」
「すいません!遅刻しました!」
「おい!グリーン!大事な会議に遅刻してくんなよ!」
「すいません!」
「レッドさん…今のはいけませんねぇ。今のはみんなを笑わせるところです。出来るリーダーは、1人目のプレゼンを盛り上げる!」
スタンフォード式リーダーシップ術「場の空気を作り出す」
アメリカのある大学で会議の場に様々な種類のサクラを仕込み、最初にプレゼンをさせる実験を行った。その結果、陽気でテンションが高いサクラが最初にプレゼンすると、建設的な意見が多くなり会議時間も短縮された。
逆に暗いサクラが最初のプレゼンをすると、会議での意見が少なく時間も長くなることがわかった。特に空気を重要視する日本人はこの傾向が強いため、できるリーダーは場の空気をまず盛り上げることが一番大切。
なので、その場の空気は壊さずに盛り上げ、後で個人的に注意するのがリーダーの正しい行動なのだ。
「では次に、なぜ我々が敵に勝てないのか、ざっくばらんに話し合いたい。まずは私の意見だが…」
「レッドさん…Ask don't tell」
「(´・ω`・)エッ?」
スタンフォード式リーダーシップ術「語るのではなく質問せよ」
目上の人は、リーダーシップを見せようと先に意見を言いがち。だがそれをするとメンバーは、萎縮して本音を話せないことが多い。人間は、自分に関心を寄せてくれた人に対し、お返しのように関心を持つという心理があるため、部下にも積極的に意見を聞くと部下は心を開き、意見が活発に出る建設的な会議になる。
これは親子関係でも有効な手段。
「どうして宿題忘れちゃったのかな?」
「遊んでて忘れちゃった」
「次の宿題はちゃんとしようね」
「遊ぶ前にちゃんと宿題するね」
一方的に叱りつけるのではなく、しっかり子供の意見を聞く。すると心を閉ざさずに子供は自分の意見を話し、問題解決につながりやすい。
✽
「あれ?もうみんな帰ったのか…」
携帯が鳴る。
「えっ?ダイナマイト工場が怪人たちに襲われている?まいったなぁ、今からみんなを呼び出すのも悪いし…。よし!ここは1人で戦うか!」
「レッドさん…、リーダーは自分1人でやっちゃダメですよ」
「(´・ω`・)エッ?」
スタンフォード式リーダーシップ術「ひとりで仕事をするな!」
「いいよ、これ俺やっとくから」
「すいません」
「あと、納期がもう時間ないから、この資料も俺が作っとくわ」
日本人に多いのが、1人で全部抱えてしまう自己犠牲型のリーダー。一見、部下思いな上司と思われそうだが…。そんなリーダーのいるチームはうまくいかない。
このようなリーダーの行動は、部下を信用していない、自分のポジションを奪われたくないという印象を与えてしまい、部下が不信感を持つケースがあることがわかっている。
「今回のこのプロジェクト、お前に任せる。責任は俺が取るから」
大切なのは、部下に仕事をまかせ、責任は自分が取ること。すると部下のモチベーションは上がり、良い成績を残しやすいという研究結果が出ている。
「1人で上げる成果より、みんなで成果を上げるほうが効率が良いですよね」
「そうだな…よし!全員呼び出して戦おう!」
✽
「いやぁ、今日はほんといい戦いができましたね」
「私3人も倒しましたよ」
「もう少しで勝ったよねぇ」
「次こそ勝ちましょう!」
「(みんなもやる気が出てきたようだな)よし!みんな!次からは一番多く敵を倒した人にボーナスを出そう!」
「レッドさん…人はボーナスでは限界がありますよ」
「(´・ω`・)エッ?」
スタンフォード式リーダーシップ術「ボーナスを過信してはいけない」
ボーナスや特別休暇といった外からの要因で、やる気を出させようとすることを外的モチベーションという。この外的モチベーションは、その時はいいが、当たり前になってくると労働意欲が削がれ仕事の効率が下がりやすいという研究結果が出ている。
では部下のやる気を持続させる方法とは…
「資料作りは地道な作業。しかし、これがあれば会社のビッグプロジェクトのプレゼンの説得力が格段に上がる。助かるよ。」
「はいっ!」
部下の頑張りが、全体の利益に繋がっていると伝えること。すると言われた側はモチベーションが上がり、やる気も長期的に持続するのだ。
✽
ガチャっ
「はい!レッドです。あ、本部長!」
「本部に優秀なスタッフが入ってきたからレンジャーのメンバーを入れ替えようと思っている。どうだ?」
「(チーム全員、仕事ができる方がそりゃいいかぁ)」
「レッドさん…チームは全員が優秀でなくてもいいんですよ」
「(´・ω`・)エッ?」
チームは優秀な人物が多いほど、良い結果を出す!だがそれは大間違い。研究結果により1人1人の能力は平凡でも、次の5つのタイプが集まった時こそ業績が上がることがわかっている。
実行力のある人、協力的な人、真面目な人、そして温厚な人、自由な人。全員がエースで4番のスタープレイヤーが揃うよりも、適材適所の個性が集まった方がチームがまとまるのだ。
「ありがたいお話ですが、私はこの5人でやっていきます」
「このチームはもう大丈夫そうですね」
「ありがとうございます。これで少しは憧れのゴールド先輩に近づけたと思います」
「レッド…お前はもう俺を超えてるよ」
「(´・ω`・)エッ?」
「明日からはもう、俺はいらないな、じゃあな」
私たちは、みんなリーダーである。究極のチームリーディング術を身につければ、きっとあなたの人生は変わるはずです。
日本リーダーシップ列伝
日本で活躍した誰もが知るリーダーたち。彼らをリーダーたらしめたもの、それはある以外な行動だった。
偉人に学ぶリーダーシップ「豪腕と謙虚」
戦後初の首相・吉田茂。日本国憲法をはじめ、教育基本法、労働基準法など重要な法律を次々に成立させ、現代の日本の礎を築いた。ワンマン宰相とも呼ばれた彼は、その異名のとおり周りの意見を聞かず、重要な案件を独断で決定することも多かった。
だが彼は、首相に任命されること5回。これは歴代最多だ。ワンマンと呼ばれながらも多くの人々に支持された理由、それは吉田のあるリーダーシップだった。
吉田にはある習慣があった。あるホテルで…
「吉田さま、何をされているのですか?」
「洗面台を拭いているんだよ」
「お待ちください!そんなことは清掃員がやります」
「結構ですよ。洗面台の水を拭くためにいちいち担当者を呼んでいたら仕事にならないでしょう」
「しかし…」
「一流ホテルが一流である証は、従業員の手によってトイレがいつもきれいであることではありませんよ」
「えっ…」
「自分で拭くのが当たり前だと思う客が、常連であることではないでしょうか?」
そう言って吉田は、黙々と洗面台を拭き続けた。彼はワンマンと呼ばれる一方で、政治の場を離れると誰に対しても謙虚な姿勢を忘れなかった。そんな普段の姿を見ていた周りの人間は、吉田に魅了されていた。
支持された理由は他にも…。
「総理、いよいよ調印式ですね。それでは行きましょう」
1951年、吉田内閣は戦後日本の未来を左右する日米安全保障条約の締結に臨もうとしていた。その調印式の直前、吉田は以外な一言を部下に放つ。
「君たちはここにいなさい。私1人で行きます」
「えっ、なぜですか?」
吉田はなぜか、部下の調印式への出席を許さなかった。
当時、日米安全保障条約に対して日本の世論は反対派が多数。条約を結んだ後、反対派のデモ運動が過激化することを吉田は懸念していた。直属の部下が調印式に出席すれば、危害が及ぶ可能性がある。そう考えた吉田は、自分1人でそのリスクを背負おうとした。
独断で決めたことの責任は、自分が取る。その姿勢を見せ続けたことで、長きに渡り支持されつづけたのだ。
偉人に学ぶリーダーシップ「一流の心遣い」
関西私鉄の雄・阪急電鉄。その創業者・小林一三。後に活躍する偉大な経営者たちにも影響を与えた彼のリーダーシップとは?
「元気にしてるか?」
「ええ、お金はありませんがこの通り元気にしてますよ」
男の名前は松永安左衛門。電力民営化を実現し、財界で電力の鬼と呼ばれた男だ。だが当時、松永は事業に失敗し極貧生活を送っていた。
「どうしたんですか?急に」
「いやぁ、退屈してると思ってね。これでも読んだら気が紛れるだろう、いい値段したんだよ」
小林が松永に渡したもの。それは、書籍と掛け軸だった。
「実は今度、会社を立ち上げようと思ってね。まぁ気が向いたら手伝ってくれ。あ、本は読んだら処分してくれていいよ。掛け軸もね」
「(こんな時に本なんて読む気になれるわけないだろう。掛け軸なんてどうすればいいんだ。売ってしまおう…売ってしまう…?)そういうことか!一三さん」
お金を渡せば簡単に松永を助けることはできる。だが、それでは彼のプライドを傷つけてしまう。そう考えた小林は、あくまで何気ない行動を装った。
この恩を忘れなかった松永は、その後、電気事業が軌道に乗ると阪急王国完成のために協力し続けた。小林が大切にした小さな心遣いによって人は動く。この行動こそ、まさにリーダーシップの真髄なのだ。