あなたの髪は元気ですか?
年齢と共に増える髪の悩み。事実2017年度のヘアケア市場は推定4,422億円。中でも最も多くの人を悩ませているのが薄毛、AGA(男性型脱毛症)と呼ばれる脱毛症だ。現在薄毛で悩んでいる人は男性で1300万人、女性でも600万人いると言われている。
ある調査では、薄毛が進んでいくと外見的に魅力がなくなり自信を失った。薄毛だからいい仕事が回ってこないなどと精神的にネガティブになりやすいことがわかっている。
そもそもなぜ人は薄毛になるのか?
大きな原因となっているのが体内で作られているDHT(ジヒドロテストステロン)という物質。これは、毛根を攻撃し脱毛を促す悪いヤツ。しかも年齢と共に増えていき薄毛へと誘う。
だがこれだけで薄毛になるわけではない。もう1つ重要なのがDHTに対する敏感さ。DHTがたくさん作られてもDHTに敏感でなければ薄毛にはならない。ではその敏感さはどうやって決まるのか?
それは隔世遺伝!実は男性の場合、敏感さを司る遺伝子は母親からしか受け継がない。そのため母方の祖父が敏感さの遺伝子を持っていた場合、50%の確率で受け継いでしまう。つまり、母方の祖父が薄毛なら父親がフサフサでも安心することはできない。
このように薄毛になりやすいかどうかは、
- DHTを作りやすい体質
- DHTに敏感な遺伝子を持つ
で決まるのだ。だが薄毛は遺伝するからと言って諦める必要はない。ヘアケアの技術はどんどん進歩している。最新薄毛治療に迫ってみましょう。
近年明らかになった髪の毛の新常識
「最近髪がすごく傷んじゃってる…」
「あんたまだまだ若いのに…私なんかすっかりツヤがなくなっちゃって」
髪の毛に深刻なダメージを持っている髪賀パサ子と最近ツヤがなくなってきた母・クシャ子。
「きれいな髪になりたーい!」×2
「私にまかせて!」
「あなたは?」
「私は美髪戦士キューティクルハニーよ!髪の毛で悩んでいる人をお助けして回っているの!まずはあなた!髪が傷んでいる最大の理由はね、髪の空洞化現象なの」
「なにそれ?」
髪の空洞化
髪の毛は主にケラチンというタンパク質でできいて、その外側をキューティクルというウロコ状の保護膜が覆っている。これまで髪のトラブルは、キューティクルが剥がれることで引き起こされると思われていた。
だが最近の研究で髪の内部の空洞化現象が原因であることが明らかになった。キューティクルが傷つくと隙間からケラチンが流れ出て中身がスカスカになる。これが髪の空洞化現象。空洞化が進行すると髪のハリやコシが失われ切れ毛などトラブルの元に。
「髪の空洞化は日々の間違ったお手入れで進んでいくの!特に髪が濡れているときは要注意よ」
髪の毛は濡れると柔らかくなりキューティクルが剥がれやすくなる。そのためシャンプーや髪の毛を拭く際、刺激を与えすぎると空洞化がどんどん進行してしまう。
「空洞化を防ぐにはシャンプーは優しく丁寧に!タオルドライはゴシゴシせずに押さえるように拭くこと!日々のちょっとした工夫で進行を食い止められるわ」
「そうだったんだ!」
「次にあなた。あなたの髪にツヤがない一番の理由はうねりよ」
「うねり?」
ツヤがないのは髪のうねりが原因
加齢と共に髪のツヤは失われていくもの。その大きな原因は髪のうねり。うねりとは、いわゆるクセ毛のことで直毛とクセ毛の違いは髪の断面にある。
直毛の場合、断面はほぼ真円だがクセ毛は楕円のような形。そのためクセ毛は光の反射が不規則になりツヤが出にくい。ではなぜ断面にこのような違いがあるのか?
その秘密は毛穴の形!毛穴がまっすぐの場合、髪に均一な力が働き断面も真円で髪がストレートに伸びていく。一方、毛穴がゆがんでいるとかかる力が不均一になり断面も歪む。結果クセ毛として生えてくるのだ。
「日本人は元々9割以上が直毛なの。ただ加齢と共に頭皮が固くなって毛穴が少しずつ歪んでしまうの」
「じゃあ、昔のツヤを取り戻すことはできないのね」
「あきらめないで!老化を止めることはできないけどツヤを取り戻すことならできる。そのためにはコレよ!」
「それってつげのクシ?」
ツヤを取り戻すための秘密兵器、それはつげの木で作られたクシ。
他のクシと何が違うのか?一般的なプラスチック製のクシは、髪の毛に静電気が溜まりやすい。そのため電気が反発してキューティクルが広がり剥がれやすくなる。だがつげのクシは静電気が貯まりにくいためキューティクルの広がりを抑えることができる。さらに傷んだキューティクルの並びも整えてくれるため、1週間も使えば輝きを取り戻してくれる。
「これであなたたちの髪は生まれ変わるはず!」
「ありがとうハニー」×2
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「最近白髪増えたなぁ、やっぱストレス溜まってるんだな」
最近白髪に悩んでいる髪賀白夫。
「お困りのようね、私は美髪戦士キューティクルハニー!髪の毛のことならなんでも聞いてね。あなた白髪のことで悩んでいるみたいね」
「そうなんだ」
「悩みを解決する前になぜ白髪が生えてくるのか?そのメカニズムを教えてあげるわ」
白髪のメカニズム
男女問わず人々を悩ます白髪。一体なぜ白髪は生えてくるのか?
そもそも髪を作る細胞と色素を作る細胞は別になっている。髪を作るのは毛母細胞、色をつけるのはメラノサイトという細胞だ。
- 毛母細胞から白い髪の毛が作られる
- メラノサイトで作られた色素を取り込み色がつく
だが加齢やストレスによってメラノサイトの活動が低下すると色がつけられなくなり白髪のまま生えてしまうのだ。
「このメラノサイトはストレスに弱い細胞なの。だからあなたみたいにストレスを溜め込む人は白髪が増えやすいのよ」
「僕の白髪はどうやったら治るんだ?」
「実は白髪に効果的な栄養素があるの。それはチロシンよ!」
「チロシン?」
チロシンは色素・メラニンを作るための原材料で、このチロシンがなければ髪は黒くならない。だがチロシンは、脳の正常な活動を高めるのに必要な栄養素。髪の毛に使われる優先順位は低い。そのため、大豆、玄米、アジなどチロシンを多く含む食材を摂ることが白髪対策に効果的なのだ。
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「ちょっときてるなこれ」
最近薄毛が気になる髪賀薄雄。
「マッサージマッサージっと」
「薄毛で悩んでいるようね」
「もしかして噂の美髪戦士キューティクルハニー?」
「そのとおり。あなた頭皮をマッサージしているけど、それ効果があると思う?」
「あるんじゃないの?」
薄毛対策としてよく知られる頭皮マッサージ。実は頭皮マッサージが発毛に繋がるかどうかわかってはいない!
確かに発毛は血流の影響を受け、マッサージで血流はよくなる。しかし、頭皮のマッサージが薄毛に対してどれほどの効果があるのか科学的に証明されていない。
「ちなみに他にどんな薄毛予防しているの?」
「毛穴に脂が溜まるとハゲやすいからシャンプーは朝と夜必ず2回してるよ」
「あなた薄毛のこと何にもわかってないわね」
「Σ(゚Д゚;エーッ!」
薄毛に関する都市伝説
広く知られている薄毛対策、頭皮を清潔に。実はコレ間違いだったことが判明!
確かに頭皮の汚れは、一時的な脱毛の原因にはなる。しかしそれだけで毛根が死ぬことはなく新しい毛もちゃんと生えてくる。つまり、頭皮の汚れが薄毛の原因にはならないのだ。それどころか、シャンプーのし過ぎは、角質層を守る脂を取り除いてしまい、かえって薄毛を誘発してしまう。
「そうだったのか」
「それとあなたひょっとして、海藻類を毎日食べているんじゃないでしょうね?」
「もちろん食べてるけど?」
「まだそんな都市伝説信じてるの?」
ワカメなどの海藻を食べると髪が生えてくるという噂…これもウソ!科学的根拠はない。それよりも髪にいい欲材は牛肉!牛肉には髪の毛に必要不可欠な亜鉛がたっぷり含まれている。もともと亜鉛は不足しがちな栄養素、意識して摂った方が髪にとっても体にとってもいいのだ。
「どれだけ薄毛予防したところで、進行を止めることは不可能なのよ」
「じゃあ、僕はどうしたらいいの?」
最新の毛髪再生医療最前線
20××年世界は薄毛の炎に包まれた!
「ふはは!この髪はもらっていくぜ~!」
「髪こそが正義!いい時代になったもんだ!」
ズサズサズサっ
「お、お前は!?額に7つの星!?」
「外道が!」
世紀末の救世主・毛ンシロウ
「アチョウ、ホワタっ」
「ありがとうございます!髪さえ生えていれば、あんな奴ら怖くないのに!どうやったら髪の毛がフサフサになるんでしょうか?」
「どれだけ薄毛予防したところで、進行を完全に食い止めることなど不可能だ」
「じゃあ、私たちはどうすればいいんだ?」
「決して希望がない訳ではない、まだ薄毛がそこまで進行していないお前にはPRP療法だ」
「PRP療法?」
PRP療法
近年注目されている治療法PRP療法。これは血液中のある成分を取り出し頭皮に注射するという療法だ。その成分とは、細胞成長因子。細胞成長因子は、髪の毛の素である毛母細胞を活性化させ髪の毛が生えてくる可能性を高めてくれる。
このPRP療法は、髪の毛以外にも体の様々な部位に応用が可能。例えばメジャーリーガーの大谷翔平は、肘にこの治療を行い細胞を活性化させ自己治癒を促している。ただし、PRP療法は毛根が死んでいると残念ながら効果は望めないという。治療の前に毛根の生死を確かめることが必要だ。
「お前はもう生えている」
「ありがとうございます!」
「ではお前には赤色LED療法を授けよう」
「赤色LED?」
赤色LED療法
最近の研究で赤色LEDは、毛乳頭細胞を刺激し髪の毛の成長を促進することが判明!
毛乳頭とは、毛母細胞に発毛のシグナルを出す器官のこと。毛乳頭は頭皮の深いところに存在するため、通常の光では届かない。しかし、赤色光には強い浸透力があるため毛乳頭を刺激することができる。
この研究を受け2017年、日本皮膚科学会はLEDの使用を推奨すると発表した。
「お前はもう生えている」
「ありがとうございます」
「最後にお前。残念だが毛根が死んでしまっている。今はどうすることもできない」
「そんな…」
「だが安心しろ。もうすぐiPS細胞を使った毛髪再生技術が完成するはずだ」
「iPS細胞?」
iPS細胞
体のどんな細胞にもなれるiPS細胞。iPS細胞を使った毛髪再生医療が臨床実験の段階にきている!
まずiPS細胞に毛乳頭細胞を導入する。それを培養し細胞分裂させて増やす。最後に薄毛が進行した部位にこの細胞を移植する。これにより毛根が死んでしまっても自分の毛を生やすことが可能!
理化学研究所によると2020年の実用化を目指しているという。再生医療で誰もがフサフサの髪を取り戻せる時代はもうすぐやってくる!
「お前はもうすぐ生えてくる」
「ありがとうございます!?」
完