嘘か本当か分からない話

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北欧神話の神々、モンスターは実話!?ラグナロクは事実が元にされている!?

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ギリシャやノルウェーには、この世の覇権を巡り戦ったモンスターや神々にまつわる壮大な神話が多く残されている。雷神のソーは、スカンジナビアの童話でも中心的な存在だが、果たして実在した戦士が元になっているのだろうか?

彼の持つ武器のハンマー、ミョルニルは本当に稲妻のエネルギーを捉えることができたのだろうか?こうした英雄の神々は実在したのだろうか?

北欧神話の神々

トール

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戦場に立ちはだかる北欧の神・トール。ジャイアントキラーとして知られている。雷を司り、人類最大の脅威を懲らしめた。ハンマーを振り回したこの戦士は実在したのだろうか?そして彼の伝説の武器とは?

手がかりは北欧神話の中にある。トールは労働者階級の武器を持つ、労働者階級のヒーローだ。山を平らにできるミョルニルという片手用ハンマーは、あまりに重いためトールしか扱えなかった。ミョルニルは投げると狙いを外さす必ず相手を倒して、戻ってくる。

西暦1000年以降、ミョルニルの形をしたお守りが北欧でいくつも発掘されている。多くの人がトールによる保護を求めていたとわかる。トールは空想上の者に思えるが、ジャイアントキラーが実在した可能性はないのだろうか?

バイキングとして知られたゲルマン民族の戦士たちは、トールの存在を信じていた。バイキングの歴史は、伝説の神の真実を明らかにするかもしれない。バイキングは、世界征服を目指して、奇襲をかけて略奪を行う無慈悲で悪名高い海賊だった。8~11世紀に細長い舟で海に出て、ブリテン諸島、フランス、イタリア、スペインを恐怖に陥れた。

バイキングは獰猛な戦士でありながら、時に探検家や職人、貿易商人や農民といった様々な面を持っていた。国境を超えた冒険の旅は、故郷では征服できなかった手ごわい敵から逃れるためだった。その敵とは、北欧の厳しい天候だ。

過酷な寒冷地帯の風土では、人々は深刻な穀物不足を抱えていた。さらに気候変動により生きるのは困難を極めた。人から物を盗んででも生きなくてはならない。寒さは彼らの価値観を変えたのだ。彼らが信仰する神々には、そんな厳しい生活の思いが反映されていた。

バイキングにとって難攻不落の敵と戦う唯一の方法は、崇拝する神トールの力を借りること。トールが戦う相手は巨人だ。しかし、バイキングにとっての敵は、実際の巨人でも獣でもない。力ずくでは克服できない大いなる難題だったのだ。

古いノルド語で「巨人」を意味する単語は、氷の巨人、火の巨人、地震の巨人など災いを招く精霊を表す言葉に使われてきた。トールと巨人との神話上の戦いは、バイキングが直面していた人間と自然との戦いを象徴していた。

トールは、筋骨隆々たる腕でハンマーを操り、雷や稲妻といった自然の力を利用する。そのハンマー・ミョルニルとは…。ハンマー型のお守りは、トールに関連するものなのだろうか?次々に出土するそれらは、ミョルニルがあった証拠なのだろうか?そしてミョルニルは何でできていたのだろうか?

トールのハンマーは隕石だったという。空から降ってきた金属が、溶岩の塊となって砂埃の舞うクレーターで見つかる。その塊は、人の手によってパワフルな武器へと作り上げられるが、磁気を帯びていた。その磁気によって電気的な火花が起きたとしたらそれは当時、魔力だと考えられただろう。

1つ確かなことは青銅器時代、ニッケルと鉄の隕石がトールなど神話の神が生まれたとされる地域に実際に降ったことだ。伝説上の偉大な武器は、全てニッケルと鉄の隕石だ。アーサー王の剣エクスカリバーも同様だ。

実際に起きた出来事に注目すると、話がどれほど大きくなっているのかわかる。トールの神話では、そのハンマーが雷を生み出すいかに凄いモノかという描写になっている。そしてハンマーの持つイメージは力のシンボルとなり、中世に生きたバイキングだけでなく、現代における侵略集団にとってもある重要な役割を果たす。

ナチスだ。鉤十字はミョルニルを投げた時の動きを図案化したものだ。ヒトラーが第三帝国の力のシンボルとした。しかし結局、ヒトラーはトールとは似ても似つかない人物だった。トールは民衆を見守り、彼らの暮らしに根ざした神だったのだ。だからこそ民衆に愛されたとも言える。

ロキ

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北欧神話には、生まれながらの悪党と呼ばれる神がいる。世界の終わりの口火を切ったとされるこの悪党にもトールのハンマーが関わっている。ある日、トールが目を覚ますとハンマーが見当たらない。困っているトールに友人のロキが、自分が探しに行くと告げる。ロキは道中で巨人に出くわした。ロキは巨人に、ハンマーを見たか訪ねた。すると巨人は、見たどころか盗んで隠した。女神のフレイヤが嫁になってくれれば、返すと言う。

ロキとトールはハンマーを取り戻そうと、一計を案じる。ロキはトールに花嫁衣裳を着せ、女神フレイヤに化けさせ巨人を騙そうと考える。トールは体格の立派な荒々しい神だ。そんな彼に、ロキは女装をして巨人と結婚するフリをしろと説得した。

宴会でロキが巨人に「花嫁への贈り物は?」と言うと、巨人は隠していたハンマーを取り出して花嫁の膝の上に置いた。トールにはまたとないチャンスだった。トールは手を伸ばしてハンマーを掴み、ヴェールを取った。巨人は、ようやく相手がトールだったと気付くが、トールに殺されてしまう。

俗説や現代映画での描写とは違い、神話上ロキとトールは血縁ではない。ただし、二人は義兄弟であるとされている。ロキはトールが戦った巨人族の息子で、北欧神話の重要な登場人物だ。北欧神話は、ロキなしでは成り立たない。ロキがいなければ物語に緊張感は生れず、ただハッピーでぐだぐだな話だっただろう。ロキはあらゆる場面で意図的に揉め事を起こす人物として描かれている。

ロキが私たちの歴史上に実在した人物であるという証拠はない。しかし、ロキという存在は現代の私たちにも共感できるある概念を表している。悪を持って悪を制するという考えだ。

火の神ロキは、邪悪だが必要な存在だ。ロキの知性やパワーは、火と同様に必要なのだ。火は恐ろしいものだが、なくてはならないもの。火のおかげで人は生きられるが、災いもある。ロキの特徴と同じだ。

物語が進むにつれロキの邪悪さは増していく。ロキは複数の巨人と結婚し、モンスターを生み出した。それらの中には、強欲な狼や巨大なヘビもいる。ロキの子フェンリルは、狼の姿をしている。世界が終末を迎える時まで足枷をされ繋がれている。史上最大の怪物ミズガルズの大蛇もロキの子だ。他にもヘルという名の娘がいるが、彼女は冥界の監視役になっている。これらの恐ろしいモンスターが、北欧神話の終焉を招いた。ラグナロクという世界の終末だ。

ベルセルク

常識では考えられないことをする人物の話は至る所にある。例えば喧嘩に巻き込まれ、急に痛みも恐怖も感じなくなってしまうという話だ。こういう超人的な話は単なる妄想だろうか?いや、ベルセルクと呼ばれた北欧のエリート戦士たちにルーツがあるかもしれない。

ベルセルクの戦士たちは、熊の毛皮を身に付け激しい戦いをする獰猛な性格だった。古いノルド語で「ベルセルク」は、熊の上着という意味だ。後に熊の毛皮を着た戦士たちを指す言葉になった。毛皮を身にまとうことで、動物化し人間的なものを全て無くす、人間であることを忘れて熊になるのだ。

ベルセルクの戦士たちは、意図的に凶暴にされ、できる限り多くの敵を殺すように送り込まれた集団だった。戦士たちは幻覚を起こす薬物を使っていたのかもしれない。薬物で凶暴になって戦い、ベルセルクになるのだ。戦士たちは、刺されても斬られても何も感じない。動きが鈍ることもなく、激しい戦闘を続ける。

ベルセルクは実在したのだろうか?それとも北欧の神オーディンに身を捧げた獰猛な戦士たちに尾ヒレがついただけだろうか…。歴史的な文献で実在したことが証明されている。北欧の多くの詩や伝承物語であるサガの中にその存在が描写されている。

暗黒時代、ベルセルクは北欧で最も恐れられた傭兵となった。ベルセルクをコントロールできたのは、彼らの王だけだったがエイリーク・ハーコナルソンというノルウェーの指導者によって政変が起こり、1015年ベルセルクは犯罪者とみなされるようになった。以降ベルセルクは姿を消し、語り草となったのだ。

ラグナロク

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北欧神話の登場人物には、力強い人物が揃っている。雷の神トール、最も知恵に長けた北欧神話の主神オーディン、二人の運命はラグナロクという最終決戦に委ねられる。ラグナロクは神々の滅亡を意味し、オーディンがいつか来ると心配していた出来事だ。オーディンは自分たちが不死身ではなく、いつか終焉の時が来ると知っていたのだ。

世界の終末は多くの宗教に出てくる。しかし、ラグナロクが特徴的なのはとてつもない天変地異から生じているという点なのだ。この壮大な物語の中に現実の自然の脅威の影響を見ることができる。

ラグナロクの前兆として、夏が来ない年が三年続いた。世界中で戦争が起き、人々の絆は失われた。空から星が落ちてきて山は崩壊し、大地が揺れモンスターが暴れだす。巨大な狼フェンリルが彷徨き、ミズガルズの大蛇が海から現れる。ラグナロクを引き起こしたのは、モンスターたちの親・ロキだ。

ロキは光の神を殺した罪で、思い罰を課せられていた。ロキは大きな岩に鎖でつながれ、頭上には毒蛇が構えていてロキの顔に毒蛇の毒が滴り落ちるのだった。だが、ラグナロクによってロキは拘束から逃れ、火の神や氷の巨人の側についた。彼らは結託し、世界を攻撃する。

ロキ率いる巨人のモンスターたちが進軍すると、トールとオーディンは迎え撃つ先頭に立った。天を切り裂く最終決戦で、神1人1人が最強のライバルと対決したのだ。トールは、最強の敵ミズガルズの大蛇と対峙した。自分のハンマーで巨大な蛇を打ちつけ致命傷を与えたのだが、大蛇に毒をかけられていたトールは9歩下がった所で死んだ。

主神のオーディンも戦った。だが巨大な狼フェンリルに食われて命を落とす。こうして世界は炎で焼き尽くされ、全てが破壊された。神々は敵を倒したものの、彼ら自身も滅ぶことになる。生き残った神はいなかったが、人間が2人隠れていた。まるでアダムとイブのようなこの2人が、世界を再生することになる。

世界の終末は多くの文化で語られるが、ラグナロクが特別なのは事実を元にしているからだ。西暦535年、厳しい寒さが北欧を襲った。まさにラグナロクの話のように桁外れの厳しい冬が何年も続いたのだ。寒さの原因は、地質学的なことだった。大規模な火山の噴火だ。

太陽が遮られ、作物は育たず人々は死んだ。現代でも2010年、北欧では似たようなことが起こった。アイスランドで火山が噴火したのだ。火山灰が太陽を覆い、1週間以上も飛行機が止まり多くの乗客が立ち往生した。535年、インドネシア・クラカタン島の噴火が大規模な火山の冬を引き起こし、バイキングが現れたという説がある。

バイキングを征服へと駆り立てた理由は、あらゆるものが凍ってしまったためだ。彼らは他の土地へ侵略をはじめる。6世紀に北欧を襲った真のラグナロクは、バイキングに国境を超えさせた。遂にはカナダ・ニューファンドランド島のランス・オ・メドーに到達する(アメリカ大陸への到達)。世界の終末ラグナロクは、始まりでもあったのだ。

今日、バイキングと彼らの神々の痕跡は、世界のあちこちで見られる。英語の曜日は北欧神話に由来する。火曜日は軍神テュールの日、水曜日はオーディン、木曜日はトールの日、金曜日はフレイヤの日だ。アングロサクソン人の国、イングランドでもキリスト教が広がる前から馴染んでいた呼び名は変わらなかった。

バイキングが世界を変えたことは否定できない。北欧神話は、彼らの生き方となぜそうしたのかを伝えている。