他にはない摩訶不思議な異形の仏像がある。ヘッドフォンのようなものを頭にかけ、左手はピースサインをしている。なぜこのような姿をしているのか…
この仏像にまつわるある言い伝えが残されている。
時は平安時代、伊勢神宮の外宮で働く神官の娘が川で流されて死んだ…。
人々が娘の遺体を探していると川底からこの仏像が発見されたという。
ヘッドホンのように見えるのは、美豆良(みずら)という日本古来の髪型で古事記に登場する神々と同じもので神道のモチーフの1つなのだ。一方、ピースサインは刀印と呼ばれる仏教における仏のサイン。つまりその2つを併せ持つ異形の仏像が示しているのが、奈良時代に伝わった仏教が、平安時代すでに神道と融合し、信仰されていた証なのだ。