現在、世界遺産は全部で1073件。日本だけでも21件もあるのだ。でもそれがどのように選ばれているかご存知だろうか。世界遺産、その選考にはグレーな部分があった?
世界遺産
世界遺産のあらまし
世界遺産が生まれるきっかけは、ユネスコという国際機関が世界各国に対し、人類の宝物である遺跡や環境を守りたいと働きかけたことから。そして、各国から保護して欲しい遺跡や環境を募り世界遺産に認定していったのだ。
ただ、この世界遺産の意味合いが最近変わってきているという。世界遺産に認定されると莫大な経済効果が生まれるということがわかり、世界各国から申請が殺到している。世界遺産に認定されることが「観光名所としてのお墨付き」のようになっており、本来の「保護してほしい場所」から「観光名所にしたい場所」へと変わってしまったのだ。
実際、3年前に世界遺産に登録された富岡製糸場は、それまで年間30万人だった観光客が一気に130万人に。もし、2017年度世界遺産推薦候補である大阪の百舌鳥・古市古墳群が世界遺産になれば、経済効果は1,000億円とも言われている。そのため各国は今、世界遺産の数を増やそうと競い合う状態に。
世界遺産登録数ランキング
- イタリア 53
- 中国 52
- スペイン 46
日本は21件で12位となっている。
選考方法
世界遺産に登録されるということは、様々な細かいチェックをクリアしなければならない。こうした歴史、文化、保存状態、美しさ、信仰などのチェックをする機関が、ICOMOS(文化遺産の審査機関)。ところがこのICOMS、お金と人手が足りておらず世界遺産の視察に1人で来たりするらしい。
だが、ICOMS(文化遺産)、IUCN(自然遺産)が調査しただけで世界遺産になるわけではない。その報告書を元に21カ国から成る世界遺産委員会が決定を下すのだが、仮にICOMSなどの審査機関が世界遺産にふさわしくないと判断しても、委員会の3分の2の国々の賛成があれば世界遺産になってしまう。そう、結局は委員会の思うがまま世界遺産は作られるのだ。
この恩恵を最も受けるのが、実は日本なんだそう。日本は世界各国に援助金(ODA)をあげているため、世界遺産委員会でも味方になってくれる国が多いのだとか。
さらに2018年にはアメリカがユネスコから脱退するというニュースも。そうなるとユネスコでの日本の発言力はより大きくなる。日本は今よりもっと世界遺産に登録しやすくなるかもしれないのだ。
世界遺産の裏事情を知れば、新たな世界遺産の楽しみ方ができるはず!?