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男にはモテるけど同性から嫌われる女!ヤワラちゃんの正体に迫る!

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国民的女子柔道マンガ「YAWARA!」。そのヒロインである猪熊柔は、天才柔道家である祖父・滋悟郎によって幼少の頃から英才教育を受けていた女子高生。第1話目から最強の天才であるが、本人は普通の女の子になりたいと思っている。

バブルの世相に浸かろうとする俗っぽい柔は、全編を通して女性人気がなかったという。そこには見え隠れする柔の本性があった。

 

 猪熊柔(ヤワラちゃん)は女性に人気がない

YAWARA!連載の経緯

出版社からラブコメ漫画を書いて欲しいと依頼されたのが発端。優柔不断な主人公の恋物語は描きたくなかった浦沢先生は、後の「MONSTER」に通じるような医療ミステリーの話を担当編集者と打ち合わせていたという。

この編集者は、スポーツの話題になると楽しそうに話すのに、本題の医療の話がはじまるとつまらなそうに聞いていたのだとか。そこで浦沢先生は、そんなにスポーツが好きなら(当時マイナースポーツだった)女子柔道漫画でもやります?と提案すると編集者の目の色が変わったという。

5分ぐらいで思いついた設定をその場で提案。

「ヤワラとかいう名前の主人公が、おじいちゃんのスパルタでやたら強くて、金持ちの嫌なライバルがいるんですよ。主人公は実力を隠しているのにやたら追い回す記者とかがいるんですよ」

などと言いながら、キャラクターやタイトルもささっと描いて渡したという。

浦沢先生は、ご自身で「YAWARA!」は「巨人の星」のパクリだと公言されており、誰でも思いつく設定だったので、毎日本屋で女子柔道漫画が始まってないかチェックしていたという。

主要な登場人物

猪熊滋悟郎。柔の祖父で過去に全日本柔道選手権5連覇を成し遂げた伝説の柔道家。金メダルと国民栄誉賞を取らせるために日夜、柔を鍛える。モデルは嘉納治五郎、フォルムは浦沢先生のおじいさんで、星一徹が老けたというイメージ。

松田 耕作。スポーツ新聞の記者。街中で柔の巴投げを目撃して以来、柔に惚れ込む。お調子者でややがさつ、だが書く記事は熱い。これは「ローマの休日」からのパロディで、新聞記者の松田が、お姫様的な柔をバイクに乗せているシーンが多く描かれている。

本阿弥さやか。柔のライバル。派手好きでプライドが高く、目立ちたがり。並外れた運動神経で各スポーツを制覇し、女子柔道に乗り込んできた。モデルは、花形満。努力の人。柔とはロードランナーとコヨーテのような関係性で、自分を相手にしていない柔をどうにかやっつけようと努力を繰り返す。

風祭進之介。さやかの柔道のコーチ。イケメンで柔をめぐって松田と争い合う。柔はかなりの時期まで、風祭に好意を寄せており、浦沢先生も「この娘、アホですよね」とバッサリと突き放している。

三葉女子短大時代

 女子大生になった柔に柔道と関わらさなければならないと、とりあえずメンバーを配置したらしい。だがこのキャラたちが、勝手に動き出して勝手に面白くなっていくという体験を初めてしたという。

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あの猪熊柔に「手のひらに“人”という字を書いて、飲み込んでください」というアドバイスを送るキョンキョン。最高にかわいいキョンキョンだが、それに対して「何言ってるの?この娘?」みたいな表情をしている柔。

浦沢先生によると、この娘はそういう娘。自分が、みんなとは住む世界が違うとわかっているという。大谷翔平が、少年野球をするみたいな感じだとか。

完全版を出版するにあたり、作品を通しで読み返した浦沢先生は、キョンキョンの卒業試合で涙したという。チームワークものは嫌いという浦沢先生も、いいのを描いたなぁと思ったと語っている。だけどもう2度とチームワークものを描くことはないと言い切っている。

当時の漫画界の常識を破った事件が、富士子の妊娠。編集部的にも、そんなのアリ?とザワつきがあった。だが、逆にそういうことをするのが革命だという気もあったという。

父親が本格的に登場

さやかのコーチとして柔の父親・虎滋郎が登場する。これは、「巨人の星」で言う一徹が飛雄馬の敵チームの監督になるというもので、「あしたのジョー」の丹下段平が、青びょうたんとバカにされていた青山をコーチし、ジョーを苦しめたのと同じ構図で梶原一騎先生の手法を真似たという。

虎滋郎の与えた秘策、寝技地獄を柔に仕掛けるさやか。当時、田村亮子vs江崎史子の試合を見ていた浦沢先生は、田村が寝技も強かったことにゾッとしたという。これにより、柔が寝技も強いということになったらしい。

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生放送の解説で来ていた滋悟郎が、祝賀会の寿司屋に、にぎれと叫ぶシーン。この後、柔は父親を投げ飛ばした因縁の技・巴投げでさやかに勝利する。TVアニメはここで最終回だった。

 バルセロナ五輪

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虎滋郎が育てていたフランス代表のマルソーとの決勝で柔が勝利し、父親と再会する。

実は、バルセロナ五輪前の祝賀会でふぐの毒で死んじゃうというシーンを考えていたらしいが、編集部に反対されて没になった。その話は、次回作の「Happy!」で採用された。

 そこで、生き残るのだったらマルソーという選手を出して、しつこくもう1回挑戦してくるという事にしようとなったいう。 

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松田の新人カメラマンとして登場した邦子。松田に対して片想いしている。キャラクターのモデルは、浦沢先生が喫茶店で向かいに座っていた女性。その場でスケッチして描き残したらしい。作中では、柔の優柔不断な行動に激怒するも、松田との恋の橋渡しをしている。

邦子の松田へのまっすぐな想いに共感する女性たち。対して柔は、松田が自分に好意を持っているのを確信しながらも煮え切らない、思わせぶりな態度を取ってみたり、拒否してみたり、とにかく凄く嫌な女なのだ。

 連載中には面白い事も起こっている。ソ連代表だったテレシコワ。バルセロナオリンピック無差別級準決勝で柔と対決する。ソ連が崩壊し、国家プロジェクトとしての選手育成がなくなりガタガタの状態で登場するのだ。冷徹なキャラだったテレシコワに血が通った瞬間だった。実際に起きた世界情勢が物語になって面白かったという。

告白シーンの真相に迫る!

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国民栄誉賞授賞式で松田が柔を連れ去るシーンは、ローマの休日のラストシーンのオマージュになっている。

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ラストで「ずっと好きだった!!」と言っているのは誰なのか?

アニメでは柔が言っているのだが、浦沢先生によるとこれは松田が言っているという。実際に柔はずっと松田が好きだった訳ではなく、フワフワしたイケメン好きの夢見る少女だったわけで…。

柔は松田に出会わなかったら、絶対に不幸になっていたと浦沢先生は語っている。ラストシーンの「あたしも…」というのも、なんとなく勢いに押されて言っちゃっただけなのではとも思える描写で、柔の俗っぽさが出ている。

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浦沢先生もちっちゃい声で「あたしも…」って言っていて、「あたしも?」ぐらいのニュアンスだという。「ずっと好きだった」は男言葉で、絶対に松田が言っていると断言した。

柔は純粋で、ある意味女のコらしいところが男受けするのだが、反対にチヤホヤされて周りの男を振り回す様は、女性には憎悪の対象になったのかもしれない。